【日経平均が史上最高値】それでも不安になるあなたへ
――ある若手社員と、ひとりの元銀行員の話
■ プロローグ
「……最高値、ですか」
画面に映るニュースを見ながら、思わず声が漏れた。
2026年5月25日。
日経平均株価は、過去最高を更新した。
オフィスの空気はどこか浮ついている。
「日本復活だな」「これからは株だ」——そんな声が、あちこちから聞こえてきた。
だが、胸の奥に引っかかるものがあった。
(本当に、大丈夫なのか……?)
理由はうまく説明できない。
けれど確かに、「このまま上がり続けるはずがない」という感覚があった。
■ 第一章:違和感の正体
その日の帰り道、私はいつもの居酒屋に立ち寄った。
カウンターの奥に座る常連の老人——坂本が目に入る。
元銀行員。
定年後も、こうして毎晩のように酒を飲んでいる。
「浮かない顔だな」
声をかけられ、私は苦笑いした。
「いや……株が最高値って聞いて、むしろ怖くなって」
坂本はグラスを置き、ゆっくりとうなずいた。
「いい勘してるな」
その一言で、空気が変わった。
■ 第二章:あの頃も、同じだった
「30年前もな、同じ空気だった」
坂本は静かに語り始めた。
「株は上がり続ける。土地も下がらない。
みんな、本気でそう信じてた」
「でも、崩れたんですよね」
「ああ。あっけないほど簡単に」
グラスの氷が、カランと音を立てた。
■ 第三章:バブルはなぜ崩れたのか
「理由は難しくない」
坂本は指を一本立てた。
「金だよ。正確には、“金の流れ”だ」
当時は金利が低く、誰でも簡単にお金を借りられた。
- 銀行が貸す
- 企業が借りる
- 土地や株に投資する
- 価格が上がる
するとどうなるか。
「もっと借りられるようになる」
私は思わず口を挟んだ。
坂本は笑った。
「そうだ。その通りだ」
■ 第四章:止まった瞬間
「でもな、その流れが止まった」
きっかけは、金利の引き上げ。
たったそれだけだった。
「金が借りにくくなると、全部止まる」
- 投資が止まる
- 価格が下がる
- でも借金は残る
坂本は低く言った。
「地獄はそこからだ」
■ 第五章:残ったのは“負債”だけ
「持ってるものは価値が下がる。
でも、借りた金はそのままだ」
その言葉は、重かった。
「会社はどうなると思う?」
「……お金を使わなくなる」
「正解だ。銀行も貸さなくなる。
そうなると——経済は止まる」
私は何も言えなかった。
■ 第六章:じゃあ今はどうなんですか
しばらくの沈黙のあと、私は聞いた。
「じゃあ今も、同じことが起きるんですか」
坂本は首を振った。
「いや……同じじゃない」
■ 第七章:今は“別の世界”だ
「昔はな、“借金で膨らんだ時代”だった」
だが今は違う。
「企業は慎重だ。無茶な借金はしない」
それに加えて——
- 成長している分野がある
- 海外から金が入っている
「理由があって上がってる」
■ 第八章:それでも安心できない理由
「じゃあ安全なんですか」
そう聞いた瞬間、坂本は少しだけ笑った。
「そんなわけないだろ」
その一言に、背筋が伸びる。
■ 第九章:今の本当のリスク
「今はな、“期待”で支えられてる部分が大きい」
期待。
その言葉が妙に引っかかった。
「もしその期待が崩れたら?」
坂本は、静かに言った。
「一気に売りが出る」
さらに——
- 金利が上がる
- 海外の市場が崩れる
そうなれば、日本も無関係ではいられない。
■ 第十章:未来は誰にも読めない
「結局どうなるんですか」
私は正直に聞いた。
坂本はグラスを空にして言った。
「それが分かれば、誰も苦労しない」
少し間を置いて、こう続けた。
「でもな、一つだけ言えることがある」
■ 第十一章:本当に大切なこと
「上がり続けるものはない」
その言葉は、妙に腑に落ちた。
「それともう一つ」
坂本は私を見た。
「怖いと思ったときが、一番まともな判断ができる時だ」
■ エピローグ
店を出たとき、夜風が心地よかった。
株価はこれからどうなるのか。
正直、それは分からない。
けれど一つだけ、はっきりしたことがある。
——ただ浮かれるだけでは、いけない。
あの日感じた違和感は、間違っていなかった。
■ まとめ
- 30年前は「借金で膨らんだバブル」
- 今は「期待と資金で動く相場」
- 同じ崩れ方はしにくい
- でも、下がるリスクは常にある
市場は、人の感情で動く。
だからこそ大切なのは、
👉 過去を知り、流されないこと
なのかもしれない。


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