正月太りはなぜ「お腹」に来るのか
〜運動生理学と医学から見た、落ちにくい脂肪の正体〜
「今年こそは食べすぎないぞ」
そう心に決めていたはずなのに、気づけばおせちにお雑煮、みかんにお餅。久しぶりに会う家族や友人との時間は楽しく、つい箸も進みますよね。
そして年明け。
体重計に乗って、そっと目を閉じる。
「……やっぱり増えてる」
しかも不思議なことに、増えた分はなぜかお腹周りに集中している。腕や脚はそれほど変わらないのに、ズボンのウエストだけがきつい。これは毎年の“あるある”ではないでしょうか。

ダイエットを始めてみても、体重は少し落ちるのに、お腹の脂肪だけがしぶとく残る。
「運動もしてるのに」
「食事も気をつけてるのに」
そんな声が聞こえてきそうです。
実はこれ、あなたの努力不足ではありません。
そこには運動生理学と医学が明らかにしている、ちゃんとした理由があるのです。
脂肪には「性格」がある
まず知っておきたいのは、脂肪は一枚岩ではない、ということです。
人間の体脂肪は大きく分けて
- 皮下脂肪
- 内臓脂肪
の2種類があります。
皮下脂肪:身体を守るクッション
皮下脂肪は、皮膚のすぐ下につく脂肪。特にお腹・腰・太ももに多く、外部の衝撃や寒さから身体を守る役割があります。
この脂肪、実はとても優秀な“防寒着”。
一度つくと、簡単には手放してくれません。
内臓脂肪:使われやすいが、つきやすい
一方、内臓脂肪は肝臓や腸の周りにつく脂肪。エネルギーとして比較的使われやすく、男性や中年以降に増えやすい特徴があります。
「じゃあ内臓脂肪は落ちやすいんでしょ?」
確かにその通りですが、年末年始で増えるのは皮下脂肪が多いのです。
特に運動量が減り、糖質と脂質が多い食事が続くと、余ったエネルギーは“安全な場所”であるお腹に蓄えられます。
お腹の脂肪が落ちにくい医学的理由
① 脂肪細胞は「縮む」だけ

脂肪細胞は、ダイエットをしても基本的には数が減りません。
中身が小さくなるだけです。
お腹周りの脂肪細胞は、エネルギー不足になると
「今は非常事態だ」
と判断し、最後まで脂肪を守ろうとします。
これは進化の名残。
飢餓の時代、人間は内臓を守るため、お腹の脂肪を最後の砦として残してきました。
つまり、お腹の脂肪が落ちにくいのは、あなたの身体が賢い証拠でもあるのです。
② 血流が悪く、燃えにくい
運動生理学の観点から見ると、脂肪燃焼には血流が重要です。
脂肪が分解されるためには
- 脂肪細胞に指令が届く
- 脂肪酸が血中に放出される
- 筋肉でエネルギーとして使われる
という流れが必要です。
ところがお腹周りは、
- 長時間座る
- 姿勢が崩れる
- 冷えやすい
といった理由で血流が滞りやすい部位。
血流が悪い=脂肪燃焼の指令が届きにくい。
これが「頑張ってもお腹だけ落ちない」原因の一つです。
③ ストレスホルモン「コルチゾール」
年明けは、仕事始め・人間関係・生活リズムの変化など、知らず知らずストレスが増えます。
ストレスを感じると分泌されるのがコルチゾール。
このホルモン、実はお腹に脂肪をため込む作用があります。
医学的には、
- 睡眠不足
- 精神的ストレス
- 過度な食事制限
が重なると、お腹の脂肪が落ちにくくなることが分かっています。
「ちゃんと頑張っているのに痩せない」
そんなときほど、身体はストレスを感じているのかもしれません。
「腹筋すれば痩せる」は本当?

よく聞く誤解の一つが、
「お腹の脂肪は腹筋で落とす」
残念ながら、部分痩せは基本的にできません。
腹筋運動で鍛えられるのは筋肉。
その上にある脂肪は、全身のエネルギー消費の結果として少しずつ減っていきます。
ただし、腹筋を鍛えること自体はとても大切。
- 姿勢が良くなる
- 内臓が引き上がる
- 見た目が引き締まる
という効果があり、結果的に「お腹がへこんだ」と感じやすくなります。
お腹の脂肪と、上手に付き合う考え方
ここで大切なのは、
「短期間で落とそうとしない」こと。
✔ 急激な食事制限は逆効果
極端に食事量を減らすと、身体は
「次はいつ栄養が来るかわからない」
と判断し、脂肪を溜め込みます。
特にお腹の脂肪は、その影響を強く受けます。
✔ 有酸素運動+日常の動き

激しい運動よりも、
- 早歩き
- 階段を使う
- こまめに立ち上がる
こうした日常の活動量が、血流改善と脂肪燃焼につながります。
✔ まずは「温める」
お腹周りを
- 温かい飲み物
- 腹巻き
- 入浴
で温めるだけでも、血流は改善します。
とても地味ですが、医学的にも理にかなった方法です。
正月太りは「リセットできる」
最後に、声を大にして伝えたいことがあります。
正月太りは、必ず戻せます。
それは病気ではなく、身体の自然な反応。
焦らず、責めず、少しずつ生活を整えていけば、身体はちゃんと応えてくれます。
お腹の脂肪は、あなたが怠けているからではありません。
これまであなたを守ってきた“名残”なのです。
今年は、無理なダイエットではなく、
「身体と仲良くなる一年」
にしてみませんか。

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