「プリズナー・トレーニング」が今も読み継がれる理由
筋トレと聞くと、ジムに並ぶマシンや重たいバーベルを思い浮かべる人は多いでしょう。
ですが、世の中にはほとんど何も使わず、自分の身体だけで驚くほど強くなった人がいます。
その人物が、ポール・ウェイド。
彼の著書として知られる「プリズナー・トレーニング」は、単なる筋トレ本ではなく、人間の身体の本質を静かに教えてくれる一冊です。
- プリズナー・トレーニングの考え方
- 自重トレーニングが身体にやさしい理由
- 運動生理学的に見たメリット
- なぜ長く続けられるのか
道具がなくても、人は強くなれる
プリズナー・トレーニングの根底にある考え方は、とてもシンプルです。
人間の身体そのものが、最も完成されたトレーニング器具である
自分の体重、重力、姿勢、バランス。
これらを上手に使えば、筋肉だけでなく神経や関節まで、無理なく鍛えることができます。
運動生理学の観点でも、筋力は「筋肉の大きさ」だけで決まるわけではありません。
どれだけ効率よく筋肉を使えるか(神経の働き)が、非常に大きな割合を占めています。
「ビッグ6」に込められた身体への配慮
プリズナー・トレーニングの中心となるのが、次の6つの基本動作です。
- 腕立て伏せ
- スクワット
- 懸垂
- レッグレイズ
- ブリッジ
- ハンドスタンド・プッシュアップ
どれも派手さはありませんが、全身の筋肉と関節をまんべんなく使う動きばかりです。
中でも特徴的なのが「ブリッジ」。
背骨を大きく動かすこの動作は、デスクワークなどで固まりやすい背中や腰を、本来あるべき状態へと近づけてくれます。
筋肉を鍛える前に、身体を正しく動かせる状態を取り戻す。
この考え方が、全体を通して一貫しています。
「少しずつ強くなる」という当たり前を大切にする
このトレーニング法のもう一つの特徴は、段階がとても丁寧なことです。
たとえば腕立て伏せひとつでも、
壁を使ったもの → 角度をつけたもの → 膝つき → 通常の腕立て
というように、誰でも必ず始められる入口が用意されています。
これは決して「楽をさせる」ためではありません。
筋肉よりも回復が遅い腱や関節を守るための配慮です。
結果として、ケガをしにくく、
何年、何十年と続けられる身体づくりにつながります。
ゆっくり動くことが、身体を育てる
プリズナー・トレーニングでは、反動を使わず、動作をコントロールすることが強く勧められています。
ゆっくり動くことで、
- 筋肉にかかる緊張が高まる
- 関節への負担が減る
- 自分の身体の感覚がよく分かる
といったメリットがあります。
回数よりも、1回を丁寧に
これは初心者だけでなく、長く運動を続けてきた人ほど響く考え方です。
強さは、派手さとは無関係
この本が多くの人の心に残る理由は、トレーニング理論だけではありません。
毎日少しずつ続けること。
今の自分に合った負荷を選ぶこと。
他人と比べないこと。
こうした姿勢そのものが、身体を変えていく力になります。
身体は裏切りません。
ただし、急がせると壊れます。
現代人にこそ、意味のあるトレーニング
長時間のデスクワーク、スマートフォン中心の生活。
ほとんど動かないまま一日が終わる現代人にとって、「自分の身体を自分で動かす時間」はとても貴重です。
プリズナー・トレーニングは、最短で結果を出す方法ではありません。
ですが、一生付き合える身体をつくる方法ではあります。
まとめ
特別な道具も、派手な知識も必要ありません。
必要なのは、自分の身体と丁寧に向き合う姿勢だけです。
もしトレーニングに迷ったときは、一度立ち止まり、
自分の体重だけで動いてみてください。
そこから、身体は静かに変わり始めます。

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