私たちが毎日何気なく口にしている食事。
忙しい日常の中では、「とりあえずお腹が満たされればいい」「子どもが喜ぶものを食べさせたい」と考えてしまうことも少なくありません。
でも、もしその“何気ない選択”が、10年後、20年後の子どもの人生に、静かだけれど確実な影響を与えているとしたら……。
今回は、エンプティーカロリーの高い食事で育った子どもが、大人になったときにどのような弊害を抱えやすいのかを、できるだけ専門的な視点を保ちつつ、生活者の目線でお話ししていきたいと思います。
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■ エンプティーカロリーとは何か
エンプティーカロリーとは、簡単に言えば「カロリーは高いのに、身体に必要な栄養がほとんど入っていない食べ物」のことです。
清涼飲料水、菓子パン、スナック菓子、ファストフード、甘いお菓子……。
思い当たるものは、きっと誰にでもあるはずです。
これらの食品は、食べた瞬間は満足感がありますし、子どもも喜びます。
でも、身体を作る材料――ビタミン、ミネラル、食物繊維、良質なタンパク質――は、驚くほど少ない。
特に子ども時代は、身体も脳も、そして心も「建設途中」。
この時期に“材料不足のまま工事を進めてしまう”ことが、後々まで影を落とします。
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■ 子ども時代の食事は「人生の初期設定」
子どもの頃の食習慣は、単なる思い出ではありません。
・脂肪細胞の数
・味覚の基準
・血糖値を調整する力
・腸内環境
・ストレスへの耐性
こうしたものが、この時期に大きく形作られます。
つまり、子ども時代の食事は、大人になってから簡単には変えられない「初期設定」のようなものなのです。
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■ 実例① 普通体型なのに不調が多い大人
30代後半の会社員男性。
見た目は健康そうで、体型も標準。
健康診断でも大きな異常はありません。
それでも本人は、
「いつも疲れている」「集中できない」「イライラしやすい」と感じています。
子ども時代を振り返ると、朝は菓子パン、飲み物は甘いジュース。
野菜や魚はほとんど口にせず、食事は“お腹を満たすもの”という認識でした。
このタイプの人は、実はとても多い。
カロリーは足りているのに、栄養が足りていない。
その結果、身体の中でエネルギーがうまく使えず、慢性的な不調につながります。
病名がつかない分、周囲にも理解されにくく、自分を責めてしまう。
これは、静かに生活の質を下げていく問題です。
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■ 実例② 太りやすく痩せにくい身体
40代女性。
若い頃から何度もダイエットに挑戦してきましたが、なかなか結果が出ません。
食事量を減らしても、体脂肪は落ちにくい。
特にお腹まわりが気になる。
子ども時代は、甘いおやつと清涼飲料水が当たり前の生活。
空腹と満腹の感覚が曖昧なまま大人になりました。
子どもの頃に増えた脂肪細胞は、大人になっても減りません。
さらに、食欲を調整するホルモンの働きも乱れやすくなります。
努力しても報われにくい身体。
それは、意志の弱さではなく、長年かけて作られた体質の問題なのです。
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■ 実例③ 集中力と感情コントロールの課題
30代男性。
仕事のパフォーマンスが安定せず、ミスが続くことも。
感情の起伏が大きく、ストレスに弱い自覚があります。
子ども時代は甘いもの中心の食生活で、魚はほとんど食べなかったそうです。
脳は脂質でできています。
特にDHAなどの必須脂肪酸が不足すると、集中力や感情調整に影響が出やすくなります。
さらに、血糖値の乱高下が続くと、脳は常に疲れた状態に。
大人になってから、仕事や人間関係でつまずきやすくなります。
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■ 共通する長期的な影響
・修正に時間がかかる
・本人の努力不足と誤解されやすい
・次の世代へ連鎖しやすい
こうした特徴があります。
だからこそ、早めに気づくことが大切です。
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■ 大人になってからでもできること
完全に手遅れ、というわけではありません。
食事を整え、腸内環境を見直し、血糖値を安定させる。
時間はかかりますが、少しずつ身体は応えてくれます。
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■ 最後に
子どもの食事は、その場の満足だけでなく、未来への投資です。
今日何を食べたか。
それが、10年後、20年後の身体と心を静かに形作ります。
食事は、目に見えない愛情の履歴。
そんな視点を、どこか心の片隅に置いてもらえたら嬉しいです。


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