「糖質10グラムでヘルシー!」
「おいしさそのまま! 糖質50%カット!」
「糖類ゼロ! 安心して食べられます!」
「糖質オフブーム」が起こってからというもの、スーパー、コンビニには必ずと言っていいほど「糖質オフスイーツ」が並ぶようになりました。

なかには専門のコーナーが設けてある店もあるほどです。
私もスーパーなどを見て回りましたが、クッキー、チョコレート、ガム、プリン、シュークリーム、ロールケーキ、ショートケーキ、アイスクリームなど、あらゆるスイーツにおいて糖質オフのものが出ていてビックリしました。
もともと糖質オフは、糖尿病の治療食として考えられたものです。
「低カロリー」の食事よりも「低糖質の食事」のほうが効果が見られた、というのがきっかけで注目されました。
それがいつのまにか「ダイエット食品」としてもてはやされるようになったのです。
糖質オフスイーツの「糖質オフの仕組み」は実はほとんど全部同じで、次の2パターンです。
【1】砂糖を避けて「低カロリーの甘味料」や「高甘味の添加物」で代用する
【2】小麦粉などのでんぷん質を避けて「小麦たんぱく(グルテン)」「大豆タンパク」などで代用する
「砂糖」「でんぷん」という、スイーツにおける「2大糖質」を減らす、あるいはまったく使わず、「別のもの(低糖質の物質)」で代用するのです。そして、不足する分は「添加物」や「たんぱく質」などで補います。
具体的にどういうことか、説明していきましょう。
「糖質オフスイーツの原材料」を見てみると…
まずは糖質オフスイーツの原材料をご覧ください。クッキーから見ていきましょう。
【低糖質クッキー】
マーガリン(乳成分を含む)(国内製造)、小麦粉、ショートニング、砂糖、液全卵、小麦たんぱく、植物油脂、乳糖、食塩
*食品添加物:加工デンプン(小麦由来)、乳化剤(大豆由来)、膨脹剤、甘味料(アセスルファムK、スクラロース)、香料
このクッキーは「砂糖」を使っていますが、量を減らして、その分、「アセスルファムK」「スクラロース」という人工甘味料で「甘さ」を出しています。
それから、「小麦」を減らして「小麦たんぱく」を使っています。
味は食感こそサクサクしているけれど、後味が悪い「人工甘味料の味」が強く、バターは使われておらず、お世辞にもおいしいとは私には思えませんでした。
次にショートケーキの原材料を見てください。
「低糖質ショートケーキ」の中身は?
【低糖質ショートケーキ】
植物油脂(国内製造)、卵、食物繊維、苺、乳等を主要原料とする食品、乳製品、エリスリトール 、大豆粉、ショートニング、砂糖、乾燥卵白、小麦たんぱく、ゼラチン
*食品添加物:加工でんぷん、安定剤(加工でんぷん、増粘多糖類)、乳化剤、香料、膨張剤、甘味料(アセスルファムK、スクラロース、アドバンテーム)

こちらも「砂糖」を大幅に減らして、天然甘味料「エリスリトール」と、人工甘味料「アセスルファムK」「スクラロース」「アドバンテーム」をあわせて使っています。
さらに、こちらは「小麦粉」をまったく使わず、「加工でんぷん」「大豆粉」「小麦たんぱく」でスポンジ生地を構成しています。
『食品の裏側』シリーズでくわしく解説しましたが、「加工でんぷん」とは、でんぷんを化学処理した食品添加物です。
日本国内では11種類が使われていますが、EUでは幼児向けの食品への使用が禁止、あるいは使用制限がされているものもあります。日本でも日本ベビーフード協議会が自主基準を設けています。
「加工でんぷん」は一般のでんぷんに比べて「粘り」「とろみ」「弾力」などの点で少量で効果が出やすいので使われているのでしょう。
しかし「加工でんぷん」「大豆粉」「小麦たんぱく」だけでは弾力のあるスポンジとして形を作るのが難しいので、「乳化剤」「安定剤」を使って成型するのです。
このショートケーキに含まれる糖質はわずか5グラム。一般的なショートケーキと比べて糖質が80%カットできているそうです。
砂糖とでんぷんを含む小麦粉を極力減らせば、糖質はここまで減らすことができるのです。
ただ、小麦粉を「小麦たんぱく」や「大豆粉」で代用すると、食感はどうしても、ふわふわ感と口溶けの良さに欠けます。
実際に食べてみると、スポンジ部分のザラッとした粒感が舌に残り、またクリームは生クリームとは似て非なる植物性油脂から作られるもので、「人工甘味料の味」も強く、私には「残念なショートケーキ」にしか思えませんでした。
砂糖とでんぷんを減らした分「増えている」のは何か?
たぶん、糖質オフスイーツを食べている方は、「ヘルシーだから」と、「頭」で食べているのではないでしょうか。
「低糖質なのだから、味がイマイチでも仕方がない」と納得しているのでしょう。
もちろん、「おいしさよりも低糖質を優先する」というなら、それはそれで結構だと思います。
しかし「低糖質の裏側」には何があるか、「仕組み」を知ったうえで食べていただきたいと思うのです。
つまり「砂糖とでんぷんはとらない」けれど「人工甘味料や乳化剤、加工でんぷんなどの添加物はとる」わけで、それは本当に「ヘルシー」なのでしょうか。
「糖質オフ」というコンセプトはいいけれど、糖質だけを見るのではなく、総合的に考えて判断をするべきだと私は思います。
コメント