1970年代の日本の食事はなぜカラダに良いのか?
はじめに
「1970年代の日本人の食事は健康的で、ダイエットにも良い」──こうした言説を、近年よく目にするようになりました。実際、1970年代後半の日本人は世界有数の長寿国であり、肥満率も現在よりはるかに低い水準でした。本記事では、いわゆる「1975年型日本食」を中心に、その健康効果の根拠を掘り下げて解説します。

1. 1970年代の日本の食事とは何か
1970年代の一般的な家庭料理は、現在のような加工食品や外食中心ではなく、家庭調理が基本でした。食事構成は以下のような特徴を持ちます。
- 主食:白米(適量)
- 主菜:魚、豆腐、卵
- 副菜:季節の野菜、海藻、漬物
- 汁物:味噌汁
- 調理法:煮る・蒸す・焼くが中心
この構成は「一汁三菜」に近く、食品の多様性が自然に確保されていました。

2. 栄養学的観点:エネルギー密度と栄養密度
2-1. 低エネルギー密度食
1970年代の日本食は、野菜・海藻・豆類が多く、脂質が控えめです。これにより、
- 食事量は多く見えても
- 摂取カロリーは抑えられる
という「低エネルギー密度食」になりやすい特徴があります。
2-2. たんぱく質の質と量
当時のたんぱく源は、肉よりも魚・大豆が中心でした。
- 魚:必須アミノ酸+EPA・DHA
- 大豆:植物性たんぱく+食物繊維
これにより筋肉量を維持しつつ、脂肪蓄積を抑える栄養構成が実現されていました。
2-3. 食物繊維の豊富さ
野菜、海藻、豆類、きのこ類の摂取量が多く、食物繊維摂取量は現在より多かったと推定されています。食物繊維は、
- 血糖値の急上昇抑制
- 脂質吸収の抑制
- 腸内環境改善
に寄与します。
3. 化学的観点:血糖・脂質代謝への影響
3-1. 血糖値スパイクが起こりにくい
1970年代の食事は、
- 精製糖が少ない
- 甘味飲料がほぼ存在しない
- 食物繊維が多い
という特徴から、食後血糖値の急上昇(血糖値スパイク)が起こりにくい構成です。
これはインスリン分泌を穏やかにし、脂肪合成(リポジェネシス)を抑制します。
3-2. 脂質の質
摂取脂質は、
- 飽和脂肪酸:少なめ
- 不飽和脂肪酸(特にn-3系):多め
魚由来のEPA・DHAは、
- 中性脂肪低下
- 炎症抑制
- インスリン感受性改善
といった作用を持ち、代謝面で有利に働きます。
4. 医学的観点:肥満・生活習慣病との関連
4-1. 肥満率の低さ
1970年代の日本人の肥満率は、現在と比べて著しく低いものでした。これは単なるカロリー不足ではなく、
- 過剰脂質の回避
- 食行動の規則性
- 間食の少なさ
が影響しています。
4-2. 腸内環境との関係
発酵食品(味噌、漬物、納豆)の常食は、腸内細菌叢の多様性を高め、
- エネルギー吸収効率の正常化
- 慢性炎症の抑制
を通じて肥満リスクを下げることが分かっています。
4-3. ホルモンと満腹感
高たんぱく・高食物繊維食は、
- GLP-1
- PYY
などの食欲抑制ホルモン分泌を促進し、自然に食事量をコントロールしやすくします。
5. 現代食との決定的な違い
| 項目 | 1970年代 | 現代 |
|---|---|---|
| 脂質 | 少ない | 多い |
| 糖類 | 控えめ | 多い |
| 食物繊維 | 多い | 少ない |
| 食品加工度 | 低い | 高い |
加工度の高い食品は、
- 咀嚼回数減少
- 満腹感低下
- 過食誘発
を招きやすい点が問題です。
6. ダイエットに応用する際のポイント
1970年代の食事を現代に再現する際は、
- 白米は適量(茶碗1杯)
- 魚・大豆中心の主菜
- 野菜は毎食2品以上
- 揚げ物・菓子類は控えめ
といった点を意識するとよいでしょう。

おわりに
1970年代の日本の食事が「ダイエットに良い」とされる背景には、単なる流行ではなく、栄養学・化学・医学的に合理的な構造があります。それは「制限」ではなく「自然に太りにくい仕組み」を持った食事だったと言えるでしょう。
現代に生きる私たちが、すべてを過去に戻すことはできません。しかし、そのエッセンスを取り入れることは、健康的な体づくりへの確かな一歩となります。


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