昨今、がんにかかる人は増加しているといわれております。生活スタイルや食生活が影響しているといわれております。
しかしその反面、がん治療の進化が著しく進歩しているのはご存じでしょうか?昔は治らない病気、のようなイメージがありましたが、今はそんなことありません。早期に発見できるかどうかが肝にはなりますが、医師だけでなく私たち患者側もある程度の知識のアップデートが必要でしょう。
では早期発見するために検査結果でどこをチェックすべきか、確認していきましょう。
*本記事は国立がん研究センター編『「がん」はどうやって治すのか』(ブルーバックス)を抜粋・再編集したものです。
がん患者さんに多い貧血
がんの検査といっても何を受けたら良いのかがわからない方、多いでしょう。もちろん明確な症状が出ていたらそこを検査すると思いますが、症状が出ていない段階では難しいと思います。
様々な検査の中でもっともポピュラーなものが「血液検査」。その中で貧血について注目していただきたいのです。
例えば、がんによって体内に貯蔵された鉄をうまく利用できなくなるため赤血球の寿命が短くなったり、赤血球をつくるよう指示するホルモン「エリスロポエチン」というホルモンが少なくなっているからです。
胃がん、大腸がんといった消化官のがんからの慢性出血や、血液細胞を作る骨髄にがん細胞が入り込むことによって貧血が起こる場合がある。
また、進行がんでは白血球の一種である好中球が増え、リンパ球が相対的に減ることがあります。これは、がんが増殖して炎症反応が起こり、炎症の場所に集まる好中球が増えるためと考えられています。
炎症反応が起こると血小板も増えるので、がんになると血小板が増えやすいことも知られています。さらに、血液中には細胞がつくるさまざまな酵素が含まれており、特定の酵素の増減や、複数の酵素の量のバランスから、がんが疑われる場合もあります。
腫瘍マーカーは目安にすぎない
多くの方が「がんの血液検査」と聞いて思い浮かべるのは、腫瘍マーカーの検査でしょう。
がんがあると、がん細胞やがん細胞に反応した細胞がつくる特定の物質(抗原、抗体、酵素、ホルモンなど)が血液中や尿中で増加することがあります。これらのうち、がんのできる臓器によって特徴的なものが腫瘍マーカーとして利用されており、全部で50種類以上が知られています。
腫瘍マーカーは、体への負担が少なく簡単に調べることができ、種類によっては診断のための検査が健康保険で認められていたり、人間ドックなどでも検査できたりします。
ただし、注意しなければいけないのは、「がんがあれば必ず増えるとは限らず、がんがない場合や良性の腫瘍の場合にも増えることがある」ということです。このため、腫瘍マーカーの検査結果だけでは、がんと診断することはできません。画像検査や病理診断の結果と合わせて診断することになります。
抗がん剤などによる治療中も月に1回、腫瘍マーカーの検査が健康保険で受けられるので、患者さんのなかには、毎月の来院のたびに腫瘍マーカーの値を見て一喜一憂される方も多くおられます。しかし、診断の場合と同様、治療効果の判定においても、腫瘍マーカーの値が治療の効果を正しく反映しているとは限りません。
こうした事情から、海外では腫瘍マーカーの検査をしていない国もたくさんあります。腫瘍マーカーは、診断においても、治療効果の判定においても、目安にすぎないのです。
おわりに
別記事でも、循環動態の話について記事をあげたことがあります。ダイエットや健康のことを考えたときに、血流の状態が良いか悪いかで、体への変化が変わります。外見的な美しさだけでなく、内面(内臓)の美しさも保っていきたいものです。
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