先日ワールドシリーズが終わりました。日本の至宝、大谷選手所属のドジャースの優勝で幕を閉じました。日本中がこんなにメジャーに注目したのは初めてではないでしょうか。野球に詳しくない私ですら見てました(笑)
そんな中、事件は起きました。ワールドシリーズ第2戦、大谷選手が盗塁を試みた際に様子がおかしかったと思います。左肩をケガしたようで、発表では「亜脱臼」とのことでした。しかし、最近になって「脱臼していて、関節唇断裂」と公表されておりました。
これはかなりのケガです。実際手術も行われたそうです。これを隠して試合に出ていたのはすごいです。個人的には、本人が出たかったというのもあって隠していたと思いますが、よく野球できたと思います。
脱臼と亜脱臼の違い
脱臼と亜脱臼の違いは、完全に脱臼している状態か、脱臼しかかっている状態かということです。脱臼ではなく亜脱臼で、もう元の状態に戻っているから大丈夫、という人もいますが、それでも脱臼しやすくなっていることには違いないので、気を付けて運動や生活をするようにしましょう。
脱臼とは
脱臼とは、関節が外れてしまっている状態です。スポーツや日常生活などで、無理な力がかかることによってなることが多く、動かすと強い痛みがあります。特に肩の関節は形状的に外れやすくなっており、脱臼を起こすことが多い部位です。脱臼をすると、外から力を加えて元の位置に戻してやる必要があり、整復と呼ばれます。病院や接骨院などで行われる治療で、自分で戻そうとしてはいけません。
脱臼をすると、関節を守っている関節包といわれる膜や、骨、周囲の腱などが損傷してしまいます。そのため、整復をしてもすぐに痛みが引かないこともありますし、しばらくは安静にするなどのケアも必要です。そしてこの関節包は脱臼をしたことで緩んでしまうことが多く、そうなるとその後も脱臼をおこしやすくなります。「脱臼は癖になる」というのはそういうことです。
亜脱臼とは
亜脱臼とは、関節が脱臼しかかっている状態のことです。関節が外れかけた状態になっていることもあれば、勝手に元に戻っていることもありますが、一瞬でも関節が外れたり無理な位置になることで、関節包などは傷んでいますからその後のケアは必要になりますし、脱臼を起こしやすくなるのも同様です。完全に脱臼しているわけではないので自分で整復する人もいますが、できればそのまま病院や接骨院に向かったほうがよいでしょう。
脱臼を何度も繰り返すようでは、日常生活にも支障をきたしてしまいます。脱臼を防ぐためには、関節に負担をかけない範囲で周囲の筋肉を強化することも有効です。それでも何度も脱臼や亜脱臼をしてしまう場合には、手術で脱臼しにくくすることもできます。
以上、ここまでが脱臼と亜脱臼の違いになります。
脱臼→完全に外れている。
亜脱臼→不完全に外れている
という違いと思っていただければと思います。では、大谷選手が損傷していたと言われる関節唇についてお話させていただきます。
肩関節唇とは
肩関節は肩甲骨と上腕骨で構成される関節です。
関節唇とは、肩甲骨と上腕骨のつなぎ目に存在するパッキンのような軟骨状組織のことです。関節唇は肩関節の安定性に大きく関与しており、上腕骨の頭が肩甲骨にしっかりと収まるように働いています。
肩関節唇損傷
そんな肩関節を安定させている関節唇が傷ついてしまうことを「関節唇損傷」と呼びます。
関節唇損傷の症状には、肩の痛み、不安定感、可動域の制限などがあります。
肩関節唇損傷では、ある程度安静にしていると一定期間で痛みなどは改善してくることが多いですが、多くの場合肩を大きく動かしたときに肩が外れてしまいそうな不安感や動きの悪さが残ります。また、肩関節を繋ぐパッキンが壊れてしまっている状態ですから、関節の安定性が著しく低下し、何度も脱臼を繰り返す“反復性肩関節脱臼”という状態になってしまうこともあります。
傷ついた関節唇が自然に元通りになることはありませんので、これらの症状の改善には治療には手術が必要になることがあります。
関節唇損傷の診断には、肩を痛めたきっかけや、一定の動かし方をした際の痛み、「コリッ」という音(クリック音)などの情報が重要です。これらから関節唇損傷が疑われた場合にMRI検査を行い、確定診断を行います。
肩関節唇損傷の原因
投球動作の繰り返しや、脱臼、長期的な使用などによって起こります。
特に脱臼した際に起こる関節唇損傷では、関節唇のみならず周囲の骨組織まで傷ついてしまうこともあり、先述の反復性肩関節脱臼となりやすいと言われています。
おわりに
脱臼というケガはおそらく大半の方が聞いたことがあるのではないでしょうか。そして脱臼を経験して、自然にもとに戻った方もいらっしゃるかと思います。しかし、脱臼が発生したら一度病院で診てもらってください。特に整形外科の受診をしない方多いと思います。
病院いってもシップもらうだけだし、、、何もしてくれない。などネガティブな意見をよく聞きます。私の考えとしては、「状態の確認」をしていただきたいです。問題点を解決したいのに、問題点の掘り起こしができていないと対処が正確に行えません。そしてケガの種類にもよりますが、痛かったものが病院に行ったその日になくなるのは麻酔や痛み止めを処方していただいて、感覚をなくしているだけかと思います。スポーツ障害を改善するには時間がかかります。
リハビリやトレーニング以上に、日常生活の動きに問題ないかどうか、の方が重要と考えております。1人生100年時代、ケガの1つや2つ、経験すると思います。対処法を理解していると早くに改善できるかもしれません。病院などに任せきりにせず、自身でも理解を深めていったほうが改善のスピードが上がると思います。
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