お子さんがいらっしゃる方、もしくは熱心に部活動やクラブチームで練習している学生さん、どんなトレーニングをしていますか?(もしくは検討してますか?)
私も学生時代、下手なりに運動は好きで頑張っていたと思います。しかし、身近にスポーツトレーナーがいなくて、顧問の先生や先輩にアドバイスをいただきながら練習に励んでおりました。
いま思えば何の根拠もないことが多々ありました。(失礼言ってすいません)
私は仕事で適切なトレーニングのコンサルティングをしているわけですが、やはり完璧なトレーニングというのは存在しないと思っております。もちろん限りなく近づけることは可能かと思います。
今回は特にスポーツに打ち込める時期、また成人した後にも影響するので、生涯スポーツ論として記事を書きたいと思います。
スキャモンの発育曲線
この図をご覧ください。どこかで見たことある方もいらっしゃるかもしれません。よく、保健体育の授業などの教科書に載っていることがある表です。「スキャモンの発育曲線」です。
横の年齢軸に沿ってもっとも成長する器官をグラフにしたものです。
グラフを見ていただくと、一番最初に発達するのは「神経型」になります。神経型は字のとおり、神経が発達する時期になります。小学校高学年にはほぼ完成形になります。
この急激にグラフが上昇するタイミングで、その型のトレーニングを導入することが、グラフの上昇を促進させる効果が得られます。
ちなみに、「一般形」というのがカラダの成長になります。この一般形と神経型が運動能力に深く関係してくるということになります。
ゴールデンエイジ(5歳~12歳)
ゴールデンエイジとは、最も神経系が発達する時期を指します。もう少し細かく分けると、「プレ・ゴールデンエイジ」と「ゴールデンエイジ」に分類されます。
①プレ・ゴールデンエイジ(5歳~8歳)
一生の中で神経系の発達が最も著しく、脳を始めとする体内に様々な神経回路が複雑に張り巡らされていく大切な時期です。次に訪れるゴールデンエイジを活かすためには大切な時期です。
②ゴールデンエイジ(9歳~12歳)
神経系の発達がほぼ完成に近づき、形勢的にもやや安定した時期です。目的に合わせて自らのカラダを動かせるようになります。一生に一度だけ訪れる「即座の習得」を備えた動作習得にとってもっとも有利な時期です。
トレーニングプロセス
まずはこちらの図をご覧ください。
図の頂点は「学習」となっておりますが、今回はスポーツ動作で話たいと思います。
例えば「テニスのサーブが上手くなりたい」というゴール設定にします。皆さんなら何から取り組みますか?サーブのスピードを向上させるために筋力トレーニング、サーブの確立を高めるために走りこんで体力と体幹の強化をする。。。どちらも正解です。
しかし、もっと根底の部分を鍛えた方が、テニスのサーブはもっとうまくなります。それは、一番下の列にある神経系のトレーニング部分です。
ちょっとわかりにくいですね。少し流れで解説したいと思います。
①人間の五感を鍛えます。正確なトスを上げる必要があるので、主に視覚のトレーニングです。(過去記事でビジョントレーニングを紹介しています)
②サーブ動作を安定させるために体幹トレーニング、肩の可動域を向上させるためにストレッチを行います。
③サーブのスピードを上げるためにラケットを素早く振りぬく必要があるため、筋力トレーニングや瞬発力強化のトレーニングを行います。
④最後にイメージとカラダの動きを協応させます。ここでは実際のサーブ動作を行います。
⑤実践(試合)
といった流れでしょうか。普通ならサーブ練習から行うのではないかなと思います。もちろんゴール(目的)を決めて、自分の立ち位置(能力)を踏まえた上でトレーニングすることが大切になります。そもそもなぜサーブうまくなりたいのか?というところです。
カラダ作りするときに考えていただきたいのは、「具体的な最終ゴール」と「自分の課題」を明確にしてから取り組んでいただきたいと思います。これは仕事や勉強も同じかと思います。
おわりに
ゴールデンエイジでは、最も神経系が発達します。思い出してください。子供のときはできない事がどんどんできるようになっていたと思います。それが大人になってからなにか技術習得することは意外とないかと思います。筋力トレーニングなどフィジカル的な要素は発達しますが、五感(神経)をきたえようという方は少ないと思います。
しかし、幼少期は筋トレをして運動能力をあげよう、なんて思う方いないと思います。
そうなんです。ヒトは器官によって成長する場所が変化します。幼少期に筋トレしてもまったく意味ないのと同じで、大人になって神経系のトレーニングをしても目覚ましい進化は見込めません。
回りくどい言い方になってしまいましたが、幼少期に神経系のトレーニングをすることが、今後の運動能力の質を高めてくれることになります。
ぜひゴールデンエイジのお子さんがいらっしゃるご家庭は神経系のトレーニングを取り入れてください。学習能力にも繋がってきます。こちらはまた別の機会にお話ししていきます。
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