食後の疲労。原因は糖質の摂りすぎかも。
血糖値を上げるのは糖質です。というより糖質だけです。ゆえに血糖値が気になるなら、糖質を摂りすぎないのが鉄則になります。それが日頃から感じる食後の「疲れやすさ」の軽減につながるかもしれません。

「なぜなら糖質の過食で“糖質疲労”を起こしている人が少なくないからです」(北里大学北里研究所病院糖尿病センター長の山田悟先生より)
糖質疲労の元凶は、食後高血糖と血糖値スパイクです。食後高血糖とは、血糖値を下げるインスリンの作用が追いつかず、通常100mg/dl前後の血糖値が食後140mg/dl以上になること。その後、遅れて効き始めるインスリンで、血糖値は急激に下がります。この乱高下が血糖値スパイクの正体です。
血糖値が下がりすぎると疲れ、眠さ、イライラといった糖質疲労の症状が出ます。また食後なのにすぐ小腹も空くこともあります。午後の仕事効率を上げるためにも、糖質は適切に摂りましょう。

糖質疲労チェックしてみよう!
- 食後に疲れる、眠い、イライラするといった自覚がある。
- 食べてすぐに小腹が空いてくる。
- 食後血糖値が140mg/dL以上になっている。
食後の疲労感の原因が過労や睡眠不足、病気の可能性もある。血糖値はドラッグストアや薬局の「検体検査室」で検査してみよう。
時代はベジファーストからオイルファーストへ。
一時期、野菜から食べるベジファーストが流行りましたね。血糖値が上がりにくく、太りにくいというのが謳い文句でした。

私も最初に野菜から食べていました。
野菜に含まれる食物繊維が血糖値の上昇を抑えるとされましたが、より効果的なのは植物油などの脂質から先に摂るオイルファースト。ベジファーストの実験も野菜にオリーブオイルをかけて調べていたので、実際はオイルファーストで血糖上昇が抑制されていた可能性が高いのです。

なぜオイルファーストだと血糖は上がりにくいのでしょうか?鍵は、脂質を摂ると小腸から分泌されるGIPという消化管ホルモンです。GIPは食欲を抑えるうえ、血糖値を下げるインスリンの分泌を早めてくれます。このため、その後から糖質を摂っても血糖値は上がりにくいのです。
なおタンパク質を摂ると出る GLP—1というホルモンにも同様の作用があります。
米粉や全粒粉にするより小麦粉の量を減らすべし。
欧米人には、小麦やライ麦などに含まれるグルテン(小麦タンパクの一種)にアレルギーを示す人がいます。それがセリアック病。アメリカ人の罹患率は約1%とされています。セリアック病の人がグルテンを避けるグルテンフリーにすると、アレルギー症状が治まり体調は良くなります。
でも、セリアック病ではない人が、小麦粉の代わりに米粉やそば粉を用いたパンや麺類を食べても何ら恩恵はないそうです。

グルテンフリー=ヘルシーというイメージも強いが、小麦粉と同じく米粉もそば粉もでんぷん食品で糖質の固まりです。血糖値は容赦なく上がります。
玄米や全粒粉パンのように、精製度の低い茶色の穀物は食物繊維が多く血糖値は上がりにくいというが、糖質量はほぼ同じです。グルテンフリーだから安心、未精製だからOKと油断して食べすぎると、血糖値は上がります。糖質量に目を向ける方がずっと大切です。
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私も教えていただいた商品なのですが、ZENBUシリーズのパスタやパンです。エンドウ豆を使っています。アレルゲンがないため、どなたでも対応しやすい食品になります。すこし豆臭いという意見も聞いたことありますが、個人的には全然ありです。
そもそも糖質とは?もう一度整理しよう。
タンパク質・糖類とは?
糖質と炭水化物は混同されるが、
炭水化物=糖質+食物繊維
食物繊維は分解も吸収もされず、大腸内で腸内細菌の餌になります。糖質にはおもに単糖類、二糖類、多糖類、糖アルコールがあります。単糖類のブドウ糖や果糖などと、二糖類の砂糖や乳糖などを合わせて糖類といいます。多糖類にはでんぷん、糖アルコールにはキシリトールなどがあります。
ナッツを食べてから糖質を摂ると血糖値が抑えられる。
日常生活でオイルファーストを手軽に実践する際、頼れる相棒になるのがナッツです。クルミ、アーモンド、ヘーゼルナッツなどです。これらのナッツは低糖質で、オレイン酸やオメガ3脂肪酸といった脂質が豊富に含まれています。
加えて食物繊維、ビタミン、ミネラルといった必須の栄養素も入っています。いずれもナトリウムを排泄するカリウムを野菜以上に多く含むので、高血圧予防にも役立つ。
口寂しくなったら間食としてポリポリ食べたり、食事の前に摂ったりすると、オイルファーストで血糖上昇と食べすぎが自然に抑えられます。
目安は1食30g。常温で保存できるから、個包装のミックスナッツを持ち歩けば、必要なときにすぐ食べられる。不要な塩分の摂取を避けるために食塩不使用、油の有害な酸化を誘発しないようノンフライでローストしているシンプルなものを選んでほしい。
“乾杯習慣”が血糖上昇にブレーキをかける。
会食などでオイルファーストを封じられ、ナッツも手元にない場面もあるでしょう。そんな時は食べ物を口にするより先に、お酒を飲んでみよう。血糖値の上がり具合が抑制できます。

アルコールは肝臓で代謝されます。肝臓は“糖新生”という働きで血糖値を保ちますが、飲酒後はアルコール代謝を優先させるので糖新生が一時的に減少。そのためか血糖値が上がりにくいのです。
この“乾杯習慣”の注意点は2つあります。

1つ目は、糖質を含まないお酒を選ぶこと。ビールや日本酒のように糖質多めだと、それで血糖値が上がる恐れがあります。糖質を含まない糖質ゼロビール、ハイボール、辛口のスパークリングワインなどで乾杯しよう。
もう一つは飲みすぎないことです。糖質ゼロのお酒でも飲みすぎると、たとえ血糖値が上がらなくても肝臓の負担となるし、血圧も上がります。2杯くらいに留めたいですね。
糖質制限は減塩にもつながる。
高血糖・糖尿病と並ぶ、動脈硬化の誘因が高血圧。高血糖を避けるのに糖質の制限が有効なように、高血圧の予防には減塩が効果的です。そして減糖を進めると減塩にもつながり、一石二鳥になります。
糖質を減らすと、相対的に脂質の摂取が増えます。和食のように脂質控えめだと塩分多めでないと満足できないが、脂質多めだと薄味でも満足できると思います。糖質制限でご飯を控えると、味噌・醬油を多用する和食の一汁三菜のしょっぱさが際立ち、減塩につながります。
都道府県別に脂質摂取量と塩分摂取量と比べると、ほぼ逆相関します。対照的なのは沖縄県と東北地方(青森、秋田、岩手、山形各県)。沖縄県では脂質摂取量が多く塩分摂取量が少ない反面、東北地方では塩分摂取量が多くて脂質摂取量は少ないのです。
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