現代の婚活は女性も年収を問われる
こども家庭庁の令和6年「結婚に関する現状と課題について」によると、50歳時未婚率(旧生涯未婚率)は、
約40年前の1980年は男性2.6%、女性4.45%でしたが、
その後は上昇の一途となっており、
2020年には男性28.25%、女性17.81%となっています。
この40年間で、多くの人が結婚しなくなった、できなくなったわけです。この傾向は今後も続くものと見られています。
この要因には世の中の価値観や結婚観の多様化、社会状況の変化など、実に様々なものが挙げられますが、なかでも昔と比べて大きく変わったことの1つに経済環境が挙げられます。
この変化が個人にも影響し、結婚においても「女性も年収を問われるようになった」という時代に突入しました。かつてならば、女性にはあまり求められなかった経済力が、今は男性も当たり前に、相応の年収を結婚相手の条件として加えるようになっています。
ところが、婚活中の女性はこの実情を知らなかったり、知っていても当事者意識を持たずに解釈する方が珍しくありません。なかには「そんなことはない、女性に年収が関係あるわけない」と強引に目を背けたり、男性を責めたりする方もいて、延々と終わらない婚活を続けることになりがちです。

そこで今回は、この「女性も年収を問われるようになった」という実情について詳しくお伝えします。特に年収を強めに問われ始める30代で婚活中の方は、参考にして頂けますと幸いです。
高収入の男性は高収入の女性を選ぶ
まずは1つの結論として、「結婚した・できた」夫婦それぞれの年収についてお伝えします。
ニッセイ基礎研究所の2024年のレポートによると、今は妻側の年収が高いほどに夫側の年収も高く、妻側の年収が低いほどに夫側の年収も低い傾向です。一部を抜粋すると、以下のようになっています。
このレポートを見る限りでは、妻側の年収が低いほど、高年収の男性との結婚には至らない結果になっています。つまり今は玉の輿や格差婚などが成立しにくい傾向にあるようです。
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、現在は結婚後も共働きを前提に考える男性が増えてきています。事実、国立社会保障・人口問題研究所の2021年「出生動向基本調査」によると、結婚した後も妻に働いてほしいと望む割合が73.9%(仕事を続ける、再就職する、dinksの合計)でした。
ちなみに専業主婦希望の男性もわずかに6.8%ほどいましたが、この調査は、婚活以外の恋愛からの結婚も含んでおり、さらに、専業主婦を希望できる男性は基本的に高年収ですぐに相手が見つかるので、婚活市場では数字以上にほとんど見かけません。
そして共働きなら、男性も女性の年収を気にするのは自然です。妻にも年収があれば、かつては大黒柱として家族を養うために受け入れていた、生活水準の低下、経済的な責任の重圧、妻の家計管理などの役割からも解放され、二馬力で協力し合ってクリアできるわけですから、素直に年収が低い女性を選ばなくなったのも当然と言えます。
大切なのは「同じ女性と比べてどうか」という点
女性の年収が話題に出ると、なかには「男性と比べて女性は稼げなくて当然」という声を上げる方がいます。「そんな弱い立場にいる女性に年収を求めるなんて…」と、避難の声も上がりがちです。
確かに今でも平均年収でいえば男性のほうが高いわけですから、そのお気持ちも分からなくもありません。
しかし、婚活では男性と比べてどうかではなく、「同じ婚活女性と比べてどうなのか」という点が大事になります。婚活市場には、当人以外にも多くの女性がいて、男性はその中から各人の年収などを比較し結婚相手を探しています。

例えば、ほかの条件を無視して年収300万円の男性と、年収500万円の男性がいたとしたら、大抵の女性が年収500万円の男性を選ぶのと同じく、年収200万円の女性よりも年収300万円の女性の方を男性も選びます。
国税庁の令和5年「民間給与実態統計調査」によれば、男性の平均年収は569万円、女性の平均年収は316万円。つまり“平均的な女性”ならば、300万円程度の年収はあるはずと男性は考えていますし、正社員で30代ならば、年収300万円を下回ることはなかなかありませんから、一般的な男性はこれを「女性に求めてもよい妥当かつ最低限の年収」と考えています。
平均年収はあくまでも平均なので、これを下回る女性もいます。なかには就職に失敗して、派遣やアルバイトで働きながら正社員を目指している女性もいるでしょう。ただその一方で、平均程度に稼いでいたり、それを上回る女性もいるわけで、どちらのほうが男性から選ばれやすいか、という話なのです。
本稿は婚活の条件における年収の話を切り取ってお伝えしているので、ここで男性と比べる必要はありませんし、男性と比べての意見を主張しても大きな意味はありません。

同年代なら若さも武器にならない
一般的に、女性は上昇婚を望む傾向にあり、なかには専業主婦になって、一方的に養ってもらうことを望む女性も見かけます。結婚にどのような望みを持つかは自由ですが、望みは男性側にもあって当然です。互いの望みが一致しなければ結婚には至りませんし、望みが高いほどに女性側も高いものを求められてしまいます。
婚活に苦戦しているということは、簡単にいえば、自身の市場価値と望みが一致していないことになります。この状況を改善するには、自身を高めるか、相手への希望を下げることが大切になります。
なお、女性の婚活では、しばしば「年収よりも年齢が大事」とも言われていますが、ゼクシィが調査した2022年「結婚トレンド調査(首都圏)」によれば、24歳以下で結婚した女性の結婚前の年収分布は以下のようになっています。
この調査の限りでは、24歳以下という極めて若い状態でも年収200万円未満では全体のたった7%程度で、ほとんどが結婚できていない、男性が結婚相手として選んでいないのが実情です。
若い女性から結婚相手候補と見なされる男性は、他の若い女性からも結婚相手候補と見なされますから、そういう意味で若さも武器にはなりません。

年収200万円未満といえば、一般的に無職や家事手伝いやアルバイトなどの非正規雇用者が該当しますが、不安定な状況では、万一の際に男性を経済的に支えられないわけですから、これも納得の結果と言えるでしょう。
しかし同時に、それほど最近の男性が女性の年収を重視している、ということでもありません。現在の男性は結婚を理性的に考えているのです。どんなに若くて美しい女性が相手でも、一方的に自分が養うような結婚は避けているというわけです。
これは悪く言えば、経済的な自信に乏しい状況を男性も冷静に捉えているからこそ、共倒れを避けるために最善で賢明な判断をしたいという気持ちの現れでもあり、結婚を望む女性は、このような男性心理を理解することが結婚への第一歩です。
総じて、女性側の年収が200万円未満だと結婚の可能性自体が極めて低く、300万円程度なら男性に望める年収も300万円程度なのが基本となります。そして当然ながら、女性の年齢が高まるほどに、最低限求められる年収水準も高まる傾向です。
冒頭でお伝えした通り、今は誰もが結婚できて当然という時代ではありません。まずは自分の年収も含めてご自身の市場価値を測りつつ、それに見合う、そんな自分を選んでくれる男性との出会いを模索することをおすすめします。

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