会社員は確定申告をすべき?年収600万円・扶養あり家庭のリアル体験を交えたやさしい解説

お金

(この記事は、日本の標準的な会社員家庭の状況をベースに、確定申告で「本当に得することがあるのか?」を、できるだけ温かく、生活者目線でまとめた内容です。)


はじめに

会社員として働いていると、毎年年末が近づくと「年末調整」という言葉をよく耳にしますよね。職場から必要書類の提出を求められ、それらを提出しておけば税金の計算を会社がまとめてやってくれる——これが会社員の一般的な流れです。

そのため、多くの方は「確定申告は関係ないもの」「自分には必要ない手続き」と感じているのではないでしょうか。私自身も以前はそう思っていました。

しかし、人生の状況や家族構成が変化していくと、実は確定申告をした方が“得をするケース”も意外とあります。特に近年は、ふるさと納税やポイント収入、副業など、ちょっとした行動が税金に影響することも増えてきました。

今回は、年収600万円、専業主婦の妻、小学生の子ども2人、持ち家6年目——そんな典型的な家庭を例に、「この家庭が確定申告をすると還付金がもらえる可能性があるか?」というテーマで、わかりやすく・温かく解説していきます。


年収600万円、扶養2人の家庭での税金事情

まず、この条件の家庭がどんな税金の仕組みの中にいるか、簡単に整理しておきましょう。

  • 夫(会社員・年収600万円)
  • 妻(専業主婦)
  • 子ども2人(小学生)
  • 持ち家(住宅ローン6年目)
  • ふるさと納税はワンストップ特例を利用

この状況だと、年末調整のタイミングで以下が処理されます:

  • 配偶者控除
  • 扶養控除(子ども2人分)
  • 生命保険料控除(申請書を出した場合)
  • 地震保険料控除(同じく)
  • 住宅ローン控除(2年目以降は年末調整で処理)

つまり、通常の会社員家庭で必要な控除の大半は「年末調整」で処理されるため、本来は確定申告をする必要はありません。

ところが……ここに“例外”や“気づきにくいポイント”が潜んでいます。

確定申告をした方が得になるケースが存在するのです。


還付が発生する可能性があるケースを深掘り

以下では、実際に税務署やFPがよく出会う「会社員だけど確定申告をすると得するパターン」を、現実の生活に即して解説します。

● 1. 年末調整の漏れがあるケース

会社から配られる年末調整の書類は、意外と提出に漏れが出やすいものです。

たとえば……

  • 生命保険料控除の証明書をなくしていた
  • 年末調整時に新旧の保険会社の証明書を混同していた
  • 地震保険料控除の書類を提出し忘れた
  • 配偶者控除の条件を誤認していた

これらの「わずかな書類の漏れ」だけで、年間数千円〜1万円以上の還付が戻ってくるケースが本当に多くあります。

「だからいつも税務署は混んでいるんだろうな……」と感じるくらい、現実には“書類忘れ”の駆け込みがとても多いのです。

● 2. 医療費控除(実は結構対象が広い)

質問者のケースでは「医療費はあまり使っていない」とのことでしたが、医療費控除の対象は意外と広いです。

  • 子どもの歯科矯正の一部
  • 通院時の交通費(電車・バス)
  • 市販の風邪薬・胃腸薬
  • 妊婦健診(女性の場合)
  • 家族全員分の医療費を合算

年収600万円の場合、医療費控除の対象になる基準は10万円以上ですが、家族4人分を一年間集計すると意外と超えていることがあります。



「レシートを全部取っておけばよかった……」

と後から気づく方も多いのです。

● 3. セルフメディケーション税制

健康診断を受けており、かつ対象の市販薬を年間12,000円以上購入すると控除が受けられる制度です。

対象薬は例えば……

  • アレジオン
  • パブロンなどの総合感冒薬
  • ロキソニン
    など、多くの人が日常的に使う市販薬が該当します。

領収書を整理すれば意外と年間12,000円を超えていることがあり、還付につながることがあります。

● 4. 株式や投資信託の配当の扱い

「特定口座(源泉徴収あり)だから確定申告不要」と思われがちですが……

実は
総合課税に切り替えた方が税金が安くなることがある
というのは有名なポイントです。

特に……

  • 扶養の関係で所得税が低め
  • 子どもや住宅ローン控除で控除額が大きい

こういう家庭だと、配当を申告した方が税金が戻るケースがあります。

これは知っている人だけが得をしている仕組みです。

● 5. ふるさと納税のワンストップ特例の“落とし穴”

質問者の方はワンストップ特例を使っているとのことでしたが、以下に当てはまると申請が無効になります:

  • 6自治体以上に寄付している
  • 住所変更したのに申請先に通知していない
  • 提出期限に遅れた

この場合、確定申告をしないと寄付金控除が適用されず“自己負担2,000円どころじゃない”状態になります。

つまり、確定申告をすることで本来の控除が受けられ、結果として“損していたぶんが戻ってくる”ことがあります。


それでも還付が「出にくい」家庭の特徴

ここまで還付が発生する可能性のあるケースを紹介してきましたが、逆に今回の家庭は「還付が起きにくい」側でもあります。

理由は以下のとおりです:

  • 年収600万円は税金が標準的
  • 扶養控除・配偶者控除がきちんと年末調整で処理されている
  • 住宅ローン控除は年末調整で処理済み(6年目)
  • 医療費が少ない
  • ふるさと納税は毎年ワンストップ特例内に収まっている

このような家庭だと、確定申告をしても「追加での還付」は比較的起こりにくいのです。


では、この家庭が確定申告をすべきか?

結論としては、次の点をチェックすれば判断ができます。

【確定申告した方がよいケース】

  • 年末調整で出し忘れた書類がある
  • 配当を申告すると得になるか判定したい
  • 医療費の合計が10万円を超えそう
  • 対象のOTC薬をよく使っている
  • ふるさと納税のワンストップ申請に不備があるかも

【確定申告しなくてよいケース】

  • 年末調整が正しく完了している
  • 医療費が年間数万円以下
  • 株・投資の配当も特になし
  • 市販薬もあまり買わない

質問者の家庭の場合は、特に大きな要因がなければ【確定申告は不要で、還付が出る可能性は低め】と考えられます。

ただし、ご家庭の状況は年々変わっていきます。子どもの成長、住宅ローンの残高、保険の見直しなど、さまざまな変化によって「今年だけは確定申告した方が得だった」なんてことも起こり得ます。


実際に確定申告する場合のチェックリスト

「もしかしたら還付があるかも?」と思ったときは、以下のチェックをしてみましょう。

■ 年末調整の控除書類

  • 生命保険料控除証明書
  • 地震保険控除証明書
  • 社会保険料(国民年金など)の控除証明書(自分で払っている場合)
  • 住宅ローン残高証明書

■ 医療費控除関連

  • 家族全員の医療費をまとめた領収書
  • 交通費(公共交通機関)の記録
  • 市販薬の領収書

■ ふるさと納税

  • 寄附金受領証明書(特例が無効の可能性がある場合)

■ 投資関連

  • 特定口座年間取引報告書
  • 配当金計算書

これらをチェックして「何か漏れがあるな」と感じたら、確定申告を検討する価値があります。


最後に|確定申告は“賢く生きる力”のひとつ

確定申告というと難しそうなイメージがあるかもしれませんが、実際は慣れれば家計管理の大切な武器になります。

国が用意している控除制度は、私たちが活用することで生活を楽にするための仕組みです。しかし、制度が複雑ゆえに、知らない人は損をし、知っている人だけが得をする世界でもあります。

今回の家族構成と収入では「大きな還付を期待しにくい」状況ではありますが、年末調整の漏れや医療費など、小さな要因で還付が出ることは十分にあります。

ぜひ一度、ご自身やご家庭の状況を振り返ってみてください。そして、もし必要であれば、確定申告のサポートもお手伝いできますのでお気軽にお声がけください。



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